暗号通貨市場のこれからについて考察してみた
2018年1年間は暗号通貨冬の1年間でした。
2017年の12月に最高値をつけたあと、18年1月から値を下げ、11月に今年の最安値を更新しました。17年の価格上昇を知っている方からするととても厳しいと感じていると思います。
現在は17年以上にネットでもたくさん情報が流れています。
ご自分で積極的に情報収集をされている方もいるかと思いますが、
「今、どうなっているのか知りたい。」「これからどうなるの?」
と、思われている方も多いかと思います。
そこで、現状私自身がわかっていること、考えていることについてお伝えすることで、少しでも現状認識の助けになればという思いから、レポートのような形にまとめさせていただきました。必要なところだけでも一読頂ければ幸いです。
<構成>
1 暗号通貨がどうして期待されているのか。
2 暗号通貨市場の動きについて。 2017年ICOの背景について。
3 これからの暗号通貨市場について。
1暗号通貨がどうして期待されているのか。
2017年は「暗号通貨元年」という言われ方もしたように、
コインチェックやビットフライヤーなどのテレビCMもバンバンと流れ「ビットコイン
」が認知され始めた年でした。17年の11月半ばからの急上昇によって冬のボーナスでビットコインを購入し、暗号通貨市場に参入した人がたくさんいます。
では、どうしてビットコインを始めとする「暗号通貨」に対して期待が集まっているのでしょうか?
よくドルや円などと比較されているのを目にした方も多いかと思います。(下表)
法定通貨との大きな違いは、
- 価値の裏付けがシステム(ブロッックチェーン)である。
- 発行上限が決まっている。
というところです。
法定通貨は政府の信用を元にして発行されていますが、ビットコインを始めとする暗号通貨は改ざんが極めて難しいブロックチェーン技術に対する信用を元にしています。
これは「非中央集権型」と言いわれています。政府の信用度の低い国では、法定通貨以上に信頼があると言われる理由です。
またビットコイン(BTC)の場合は発行上限2100万BTCと決まっています。10分毎のブロック形成時に取引量に合わせてマイニング報酬として発行され、当初の予定では、2040年までに全てのトークンが発行される予定です。(発行上限はトークンによって違います。)
法定通貨の場合には発行上限がないため、極端な話、政府が紙幣を刷れば刷るだけ紙幣の数を増やしていくことができます。
結果としてはその通貨の信用(政府の信用)が落ちればインフレとなり通貨の価値が落ちていきます。ジンバブエドルなどは有名です。
(https://www.huffingtonpost.jp/2015/06/12/zimbabwe-dollar_n_7574706.html)
発行上限が決まっているということは、需要が増えれば需給の関係から自ずと価値が上昇していくことになります。
以上のような理由から、17年後半の急上昇も合わせて「暗号通貨は儲かる」という印象で投機対象として一気に暗号通貨市場にお金が流れてきました。
2今年の暗号通貨市場の動き。2017年ICOの背景について
2017年の12月にBTCの価格は1BTC=200万円をつけました。翌年明けからは下落に転じ、今も下がり続けています。
どうしてこのようなことが起こったのでしょうか?大きく分けて以下の3つが挙げられます。
- 各国の規制強化について
- 価格上昇への抵抗勢力について
- ICO資金の換金。
これから順に説明していきます。
- 各国の規制強化について。
2018年になり、日本も含めた各国において法整備や取引所に対しての取り決め、ICOに対する規制など、共通理解が一気に進みました。
国によって細かな違いはありますが、暗号通貨は状況によっては法定通貨を無価値化される可能性のあるものです。
今までなかった暗号通貨というものに対して各国で法整備が行われています。それぞれの国で細かな違いはあるものの、G20などで協議されて共通の見解として示されているのは、「暗号通貨(というよりはブロックチェーン技術)は、これから様々な分野での発展が期待できる」というものです。
実際に今では流通、医療、ゴミ処理など様々な分野でブロックチェーン技術が活用され始めています。
暗号通貨の取引について各国が法整備を進めていること取引所などが整備されていくことは、これから多くの人たちが暗号通貨投資に安全に参入するために必要なことだと思います。
- 価格上昇への抵抗勢力について
先述した通り、2017年12月にBTC が1 BTC 200万円 という最高値最高価格を付けました。ビットフライヤー、コインチェックなどの取引所の CM もたくさん流れこの12月のボーナスで暗号通貨取引に入ってきた人たちがたくさんいます。
ところが BTC の価格はその後は下落の一途を辿っています。流行語にもなったようにガチホ。その言葉の通りいわゆる高値づかみをした人たちがたくさんの BTC を所有しています。
「価格が下がってきたから」「新しい投資先として」新規参入という形で暗号通貨を購入するという人がこれから増えてくるとは思いますが、一時的な上昇があったとしても高値づかみをした人たちが売り時を常に狙っている状況になっていて、上げては下げられ上げては下げられということが繰り返されることが予想されます。
これから世界中のファンドなどの機関投資家が暗号通貨投資に参入してくることは間違いないと思いますが、いわゆる機関投資家と呼ばれる方たちは上昇トレンドが出てからそこに乗ってくる絶対に損をしない形をとりますので流れが上昇へと完全に傾くまでは入ってこないと思います。
その状況から高値で掴んでいる人たちが損切りをする、一斉に手放すほどの下落。いわゆるセリングクライマックスと言われるほどの下落をしてからの上昇が予想されています。
- ICO 資金の換金
今年の暗号通貨価格が下落した原因の一つとして ICO 資金の換金があります。これは2017年にたくさん行われた ICOで集められたビットコイン,イーサリアムを ICO の胴元が法定通貨に換金して行くからと言われています。
ICOにおいて大量に集められたイーサリアムが換金される(つまりは売られる)ことでイーサリアム、ビットコインさらには暗号通貨全体の価格が下落して行きました。
このような理由から2018年の暗号通貨市場は低迷しました。
中でもICO胴元によるイーサリアム売却は、
イーサリアムの大量売却→イーサリアム価格の下落→ICO 胴元に入る金額が目標額に達しない。→プロジェクトの進行に支障をきたす。という悪循環に陥っています。
3これからの暗号通貨市場について。
2016年17年にかけての ICO バブルによってどんどんと新しいトークンが発行されてきました。これからはその乱立した暗号通貨がどんどんと淘汰されていく時期に入っていくと予想されています。
本当に価値のあるトークンだけが生き残りそうでないトークンはどんどんと淘汰されていく時期に入っています。
前述したように 2017年に行われた ICO のプロジェクトそのほとんどがイーサリアムの価格下落によって当初予定していた獲得金額を確保できていないプロジェクトがほとんどです。
それによって予定していたプロジェクトの進行が遅れている、身動きが取れないそんなプロジェクトがたくさんあります。
ICO のプロモーションのために作られた LINE @やテレグラムなどのSNS がそのまま放置されている、いくら問い合わせをしても返答がない。そんなプロジェクトもたくさんあります。
現在のサポートが動いているICOのプロジェクトでも暗号通貨市場全体の底上げ価格上昇がなくては身動きが取れないプロジェクトもたくさんあると思います。
現在世界的に価値の認められている暗号通貨と言うと何と言ってもBTCです。
暗号通貨の取引量において取引金額もトランザクション数もBTCが1位です。
(2位をイーサリウムとリップルが争っている)
ただ、BTCの実際の取引量はデータに出てきているものよりももっと多い様です。
現在のBTCの使用方法として、ウォレットからウォレットへの送金するというだけではなく、主に中国との取引などにおいて、BTCの入ったハードウォレットごと渡すという方法が行われている様です。
この様にすると、その取引のトランザクションや取引金額などのデータは残りません。
BTCは取引量の増加などからマイニングによる消費電力が問題になったりしていましたが、トランザクション数もそこまでは増えていかないのかも知れません。
暗号通貨投資の方法として暗号通貨の取引量上位10個のトークンを買っていくというような方法を紹介されることがあります。
ただ、リップルはもともとブロックチェーン技術を使ったトークンではないということ。イーサリアムはプラットホームとしてトークンを作りやすいという特徴から、2017年の ICO バブルの際に送金用のトークンとして価格が上がって行きましたが、現在の ICO 規制などによってこれから次々に ICO が行われることもなくなってきました。 これからはあまり需要が伸びてくるものではないと思われます。
そのような背景から現状は BTC 一択、ということになりそうです。
先ほども書いたようにこれからはトークンがどんどんと淘汰されていくことになります。
利用価値のないトークンはどんどんなくなっていくでしょう。
これから残っていくのは実需のあるトークンのみ。
BNB などの取引所発行トークン、ゲームやカジノなどで使うことができるトークン、レンディングなどの金融関連のトークン、医療関連などのデータを載せることのできるトークンなど。ブロックチェーン技術とは相性がいい分野、そして使用目的が明確であり、市場の大きいトークンが残っていくと言われています。
ただ今は取引所も乱立していますし、同じような使用目的のトークンも多数あるので、同じ分野内でのシェア獲得合戦があり、 その中でもトークンの淘汰が進んでいくと思います。